歴史に名を刻むダイヤモンドたち

ダイヤモンド鉱山

史上最大のダイヤモンド原石から作られたグレート・スター・オブ・アフリカ

ダイヤモンド買取の豆知識。「女王陛下の宮殿にして要塞」とも言われるロンドン塔には、イギリス王室ゆかりの品々が多数展示されています。中でも、多くの人々の目と心を惹きつけてやまないのが、世界最大のカラーレス・ダイヤモンド「カリナン1世」がはめ込まれた王笏。そして「カリナン2世」がはめ込まれた王冠です。

この王笏と王冠は現在でもイギリス国王・女王の戴冠式に用いられる即位の宝具として、生き続ける宝です。その2つの宝にはめ込まれた巨大なダイヤモンド、カリナン1世・2世は、実は史上最大のダイヤモンド原石からカットされた兄弟・姉妹の関係にあります。

カリナン1世・2世の母体となった史上最大のダイヤモンド原石「カリナン」は、1905年に南アフリカのプレミア鉱山で発見されました。実に3106カラット。馴染みのある単位で表すと、長さ101mm、高さ63.5mm、幅50.8mm、重さ約0.6kgという桁外れに大きな原石で、大人の手で握っても覆い隠せないほどでした。

その時までに発見された中で最も大きな原石は「エクセルシオール(エクセルシア)」の970カラットでしたから、その3倍もの大きさがあったことになります。その巨大さを物語る逸話として、「発掘された当初は、その頃に鉱山夫達の間で流行っていたガラスを埋めるイタズラだと思われた」という逸話が伝わっています。また、この世界最大の原石は同時に、これまで発見されたどの巨大な原石よりも純度が高いものでした。数名の専門家の鑑定を受けた原石は、「世界で最も巨大で、かつ純度の高い原石」として注目を集めます。

こうして世に出た巨大な原石は、発掘された鉱山を所有する「トーマス・カリナン」の名を取って「カリナン」と名付けられました。ロンドンとヨハネスブルグで展示されるも、2年の間、あまりの高額に買い手がつかないまま。やがて南アフリカ共和国のトランスヴァール州政府が購入し、英国王エドワード8世の66歳の誕生日をお祝いする為に献上されました。この時、輸送には盗賊の襲撃を避ける為にダミーまで用意されたほどです。

カリナンのカットを依頼されたのは、先述した「エクセルシオール(エクセルシア)」のカットを見事成功させ「世界最高の技術を持つ」と名声を得ていた、「アッシャー・ダイヤモンド社(現ロイヤル・アッシャー・ダイヤモンド)」です。当時、アッシャー社最高の技師であったアンリ・コーは、数日間悩み抜いた末、見事カリナンのカットに成功。結果、9個の大きなダイヤと96個の小さなダイヤが得られました。

こうして得られたダイヤのうち最も大きなものがカリナン1世、別名「グレート・スター・オブ・アフリカ」として王笏に、2つ目に大きなダイヤが王冠に飾られました。そして、今でもイギリス王室の至宝として受け継がれ、ロンドン塔の「クラウンジュエルハウス」で永久展示品として威容を放っているのです。